ライン川のほとりに佇むエレガントな一軒家。洒落たインテリアで飾られた部屋のテーブルには、高級ワインが注がれた大ぶりのグラスと、スパイスの調合から手作りの本格的なインド料理が並ぶ。この家の主は、哲学者で文学教授のシュテファンと国語教師のエリザベトの夫婦。二人から今宵のディナーに招かれた客は、エリザベトの弟トーマスと出産間近の恋人、幼なじみで音楽家のレネだ。心を許す“家族”との愉快な一夜──のはずが、トーマスが生まれてくる子供の名前を“アドルフ”にすると発表したことから、激しい論争が始まる。「アドルフ・ヒトラー！？ とんでもない！」と全力で止める3人との口論は、世界史・政治・宗教・芸術と、あらゆる角度からの壮大な“アドルフ是非論”へと発展。激論の末に何とか決着を見るのだが、今度はその大論争を忘れてしまうほど強烈な、それぞれの秘密の暴露大会が始まる。果たして、デザートの時間まで秘められていた、“家族”最大の隠しごととは──？
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