あこがれ

母の再婚のために“あかつき子供園”に預けられた一郎は、平塚で老舗陶器店を営む吉岡家にもらわれ、立派な青年に成長した。血のつながりのない親子であるにもかかわらず、良好な関係を築き上げた一家の目下の関心事は一郎の嫁探し。そんなとき、一郎は19歳になった信子と再会する。信子もまた子供園の出身で、幼いころは一郎と特に仲の良い子供だった。昔を懐かしむ2人は子供園を訪ね、親代わりの先生だった水原園子に逢う。信子には酒乱の父親がおり、父から逃れるために平塚へ流れてきたのだった。毎日の逢瀬の中、2人はいつしか愛し合うようになり、一郎は信子との結婚を決意する。ところが、この話に一郎の父は反対、怒りを買ってしまう。信子は一郎のもとを去ろうと決めるのだが…。