マダムと奇人と殺人と

美大生連続殺人事件が発生した。死体はそれぞれ、名画収集家の墓の後ろに隠されていて、何故か右の腕が切断されている。触ったものが次々と壊れるという、助手の刑事ボルネオと、愛犬バブリュットを連れて、レオン警視は捜査を開始する。謎の人物からの電話があり、レオン警視は下宿付きのビストロ“突然死”へたどりついた。そこには、一風変わった人物ばかり集まっているのだった。おかまのイルマ、ロゼワインしか飲まないローズ、まずい料理ばかり作るコックのジェジェ。いつも鳥を連れている老人などなど。事件の事を聞いても知らないという。しかし、彼らは店の評判が落ちることを気にして黙っている。本当は下宿人は行方不明になっているのだ。おかまのイルマは、かつて付き合っていた女性との間に生まれた、実の娘のマリーと対面することを決意した。それも、ありのままのオカマの姿で。娘の事は片時も忘れた事はないのだが、マリーが20歳になる今まで一度も、彼女に会った事がない。マリーは、イルマがおかまであることを知らない。そしてマリーは自分は父親に見捨てられたと思い込んでいる。果たしてマリーは、そんな父親を認めるであろうか。また、事件は新たな展開をみせ始める。現場に残されている謎の暗号を発見したレオン警視は、事件の核心に迫るのだった。