月に囚われた男

地球のエネルギー資源が底をついた近未来。宇宙飛行士サム･ベルは、エネルギー源ヘリウム3を地球に送るために月に派遣された。月には大量のヘリウム3が堆積しているのだ。仕事は1日1回、月面車に乗って資源を採掘･抽出･精製してロケットで地球に送る。月面基地では、人工知能を搭載したロボット、ガーディがたったひとりの相棒なのだ。仕事の後は、まったく自由。好きな時に食事をして、筋トレに励むのだが、時間は余るほどある。TV電話での妻･テスとの会話も、今では衛星の故障により交信不能に。過去の通信の録画テープを繰り返し見ては、家族への想いを募らせる。地球を離れる時に生まれた娘は、もう3歳になる。しかしこんな孤独な生活も、あと2週間で終わる。契約期間は3年なのだ。そんな時、サムは月面車の操縦中に事故を起こしてしまった。ガーディに助けられ、気づくと基地内の診療室に。ベッドに横たわるサムは、一人きりのはずの船内に自分と全く同じ顔の男がいるのに気づく。これは幻覚なのだろうか。この時まで、サムは自分の運命を知る由も無かった。